エレベーターで10階まであがった。
降りるとそこには庶民すぎる風景があった。
「ん?これは、どういう事だ 笑」
状況の把握に時間がかかった。
そして、ボクが宿泊する部屋は本当に存在するのか?
という疑問もあった。
まず、香港の渡航前に怪しい点がすでに3つあった。
宿泊代の支払いは現地精算のはずなのに、すでにクレジットカードが引き落とされていた事。
その引き落とし先の名前が予約していた宿泊施設とは違うところ。
それについて問い合わせのメールを送っても、返信なし。
ホテル詐欺の条件が全て揃った。
チェックメイトである。
一応10階にレセプションがあると書いてあったので、探してみた。
なかった。
なので、他の部屋にいた暇そうなおばさんを見つけて、
「これ、ここであってる?」
と尋ねてみる。
「No,go straight!」
と言われて、
「あっ、一応存在してるんだ。」
と少し安心した。
だが、指定された場所にはなかったので、また違うおばさんを見つけて尋ねた。
そのおばさんは現在進行形でヌードルを食していて、迷惑そうな顔をした。
「last one!」
と言われて、指をさした方向に向かった。
なんちゅう場所や。
そんな気持ちよりも、たらい回しにされていてる疲れの方が多くて、他のことはどうでもよくなった。
指定された部屋に行ってみると、部屋の前にこんなことが書かれていた。
"レセプションは16階に移動しました"
殺すぞ。