ブルゾンちえみのようなポージングを依頼した。
「えー、恥ずかしくて出来ません!」
とATSUKOさんは言ったけど、この言葉には信憑性はないとボクは確信していた。
彼女が嘘つきだとか人格的なことを言っているのではなく、サービス精神がつゆだく特盛なので何でもこなしてしまうのだ。
今回も餌付けのために飲むヨーグルト(プレーン)をあげた。
ありがとう。
君の役者ぶりには感服するよ。
今度はアメリカンアパレルのCMのようなクールなものを面白動画っぽく撮りたいと依頼した。
構想を練るために次回撮ろうと思っていたのだが
「前髪つくってきましょうか?」
と監督である僕よりも撮影に意欲を燃やし、スグに撮影に取り掛かろうとしていた。
ブルゾンあつこの女優魂に監督であるボクの創作意欲がついていけてない。
すまん。
それに気づいたときは遅く、残像だけが残った。
このあと男同士で、飛田新地にマツコ・デラックスのような女がいるという情報を、みずきから聞いたので現地に向かうことにした。
「マジ、えぐいっすよ!」
とみずきは言うので、デロリアン(自転車)を爆走させて秒殺で着いた。
そこには眩い光に照らされた女性たち。
飽きることがない光景。
こちらも微笑み返してしまう美しさ。
「今の子、まじ可愛いっ!!!」
と男たちは本来の目的なんか忘れて細胞レベルで楽しんでいた。
一応全ての通りを歩い終えてから目的に気づく。
「誘惑に負けて俺たちのジャーナリズム精神を忘れるところだったぜ!」
と自分たちの意志の弱さを誤魔化しつつお目当のマツコ・デラックスのような女性を探していた。
僕たちは、その女がこの辺りを仕切るビッグボスだと推測した。
結局、見つからなかった。
だが、帰り際にたまたま覗き込んだ“寿”という名の料亭(法律上)には超熟マンゴーな女性が座っていて、男同士アイコンタクトで
「寿、エグイっ!!」
と言葉を交わさなくても、魂レベルで会話していた。
スタジオジブリに出でくるキャラのおばあちゃんのような風貌で、座っていた。
女性は灰になるまでが女性なのであろう。
あの女性はどれぐらいのキャリアを積み重ねてきたのだろう?
屈託のない疑問は冬の風に吹かれて消えた。
「菅田将暉の額がかっこいいんです〜」
と力説された後、画像を見せてもらった。
正しい返事が見つからなかった。
人それぞれ好きな所が違うのは当たり前だ。
もちろん歩くスピードもそれぞれ違う。
自分には、自分の歩き方しか出来ないが他の人とは違う風景が見られるはずだ。